Search

【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術 第16回 コロナ禍の影響で商品が売れ残り 在庫額下げて税金を少なくするポイント - KaikeiZine

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言で、国民は約2カ月間近く、ショッピングなどを控えてきた。そのため、衣料品などのショップでは、春物の服が売れず、沢山の在庫(棚卸資産)を抱えた。在庫は、その年の収益や税金に大きく影響してくる。売れ残った在庫は、評価損を計上して税金を減らしたい。

在庫は、希望通りの価格でいつでも売れるとは限らない。流行遅れや事故による破損などでどうしても仕入れた価格以下で売ることも多い。とくに、今年の3月中旬から6月までは、コロナ禍の自粛宣言により不要不急の外出はおろか、衣料品店などショップをはじめ多くの企業が休業を余儀なくされた。衣料品ショップでは、時期的に春物の衣服などが売れ残り、在庫を抱えるショップは全国に広がっている。このような在庫は「不良在庫」「滞留在庫」と呼ばれ、何らかの経理処理が必要だ。在庫は、会社の税金を決定する大きな要因であり、在庫を減らせば税金は低く抑えられるからだ。

会社の利益は、簡単に説明すると

「売上」―「経費(仕入れなど)」+「在庫」=「利益」

の計算式で求められる。

「売上」から「経費」を引くのは理解できるが、なぜ「在庫」をプラスするのかというと、在庫は、その年は売れ残ったものであり、翌年以降の売り上げに反映するため、その年の経費からは除外することになっている。つまり、翌年以降に販売されたか、処分された年の経費に計上すべきものなのだ。

在庫は、仕入れたときよりも価値が下がるのが一般的で、在庫の市場価値が大きく値崩れしているような場合は、評価損を計上することで在庫額を低く抑えることができる。在庫額を少なく計上するためには、適切な在庫の評価方法を選択するほか、評価損を計上する。

評価方法は、「原価法」と「低価法」があり、「原価法」は在庫を購入した際の価格をそのまま用いる方法で、「低価法」は、現在の時価と原価を比較して、低い方をとる方法だ。棚卸資産の評価は、会計基準と税法で考え方がそれぞれ異なるが、ここでは会計基準については省く(注1)。

在庫の評価損を計上するメリット

在庫の評価損は、在庫商品や在庫原料などの現実の価値が、帳簿上の価値よりも明らかに下落している場合には、その差額を「損」として計上する。

在庫の評価損を計上するメリットは2つだ。

1、会社の財産である在庫の実態をきちんと決算書に反映できる。税務上認められない損失でも、損失を将来に繰り延べしないことで、早めに在庫処分できる。金融機関も融資評価の際は、処理をきちんと行っている上での利益の減少は、肯定的な見方をしている。

2、税務上の損失なら節税に繋がり、不良在庫を抱える財務リスクを軽減できるほか、キャッシュフローの改善に繋がる。

在庫の評価損が計上できる主な要件

税務上、在庫の評価損が計上できる要件は、

①著しく陳腐化した場合

棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうから、例えば商品について次のような事実が生じた場合をいう(基通9-1-4)。

(ア) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること

(イ) その商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと

②災害などによって損傷した場合

③その他①又は②に準ずる特別な事実のある場合

例えば、破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により通常の方法によって販売することができないようになった場合をいう(基通9-1-5)。

にのみ損金算入が認められる。

そのため、評価損を計上した理由がどれに当てはまるかを証明できる資料を用意する必要がある。

国税庁では、「単なる過剰生産、建値の変更でだけでは評価損は計上できない」と通達で示しているものの、どの程度ならよいかは示されていない。税務署がこれを修正するには、よほどの証拠を揃える必要があり、会社側としては、条件に合致しているなら、税理士などと相談しながら積極的に評価損を計上していきたい。

(注1:平成20年に「卸資産の評価に関する会計基準」が公表されてから、会計方針は「原価法」といった記載になり、原価法の枠組みで収益性の低下について簿価切り下げを行うことになる。一方、税務上は承認申請を条件として、「低価法」の承認を受けることによって、税法の規定に従って簿価の切り下げに係る評価損の損金算入が基本的に認められる)

<関連記事>

▶第1回 会社にかかる税金と節税

▶第2回 オーナー社長の負担は法人税、所得税のダブルパンチ

▶第3回 会社にかかる税金を知る ~実際の税金はいくらになるのか・・・~

▶第4回 経営者が検討すべき「節税」と「租税回避」「脱税」は全く違う

▶第5回 最低でも決算3カ月前から節税対策を考えておく理由

▶第6回 中小企業経営者の報酬は高めに設定しておくべき理由

▶第7回 飲食業以外でも消費税の軽減税率が影響

▶第8回 利益を出している法人の節税ならまず経営セーフティ共済を検討すべき理由

▶第9回 社長個人の所得税、住民税を安くする小規模企業共済

▶第10回 社長の老後資金の積立に「つみたてNISA」の活用

▶第11回 新型コロナウイルスで活用したい小規模事業主向け融資

▶第12回 新型コロナ感染症 休業で活用する「雇用調整助成金」 厚労省がさらに制度拡充へ

▶ 第13回 新型コロナ対策「給付金」「補助金」「助成金」の課税問題

▶第14回 政府のコロナ対策資金支援 業種別に利用できる制度が一発で分かる

▶第15回 コロナ対策でテレワーク導入 社員同士のオンライン飲み会にお金を支給したら福利厚生費で処理

Presented by アルトア株式会社

<概要>
アルトア株式会社 ( Altoa, Inc.、東京千代田区、代表取締役=岡本浩一郎)
会計ソフト『弥生会計』を提供する弥生株式会社の子会社。
会計データとAIを活用した新たな与信モデルを開発し、小規模事業者向けに「アルトア
オンライン融資サービス」を提供する。会計データ提出とインターネット入力で申込み
手続きが完了、保証人・担保なしと、早さと利便性がサービスの特長。


バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する

KaikeiZine

租税調査研究会が監修する税金・会計の総合ニュースメディアです。税金・会計に関するさまざまなニュースを、わかりやすくお届けします!
■運営会社 株式会社レックスアドバイザーズ
https://www.rex-adv.co.jp/
■監修 税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■公認会計士・税理士・経理の転職サイトREX
https://www.career-adv.jp/

Let's block ads! (Why?)



"在庫" - Google ニュース
June 22, 2020 at 06:02AM
https://ift.tt/2AN5efa

【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術 第16回 コロナ禍の影響で商品が売れ残り 在庫額下げて税金を少なくするポイント - KaikeiZine
"在庫" - Google ニュース
https://ift.tt/2rEVxKJ
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術 第16回 コロナ禍の影響で商品が売れ残り 在庫額下げて税金を少なくするポイント - KaikeiZine"

Post a Comment

Powered by Blogger.