倉庫管理や店舗経営をおこなうにあたって、販売する商品を保管、売上に関わってくる在庫回転期間や在庫回転率は欠かせない要素です。しかし、実際に細かく理解されている方は少ないとされています。そこでこの記事では、そんな在庫回転期間や在庫回転率について、その詳しい意味から計算方法、メリットなどを解説していきます。
「在庫回転期間」と「在庫回転率」について知ろう！
在庫回転期間、および在庫回転率は、倉庫にある在庫数を表す期間、指数です。これらをデータとして駆使することによって、商品の売れ残りといった事態を防ぎやすくなり、売上アップにもつながっていきます。この項では、在庫回転期間、在庫回転率、それぞれの詳しい意味と理論を解説します。
在庫回転期間とは？
まず、在庫回転期間ですが、これは商品を在庫に入れて、そこから出ていくまでの期間のことを意味します。商品を在庫に入れる、すなわち仕入れをおこなって商品を手に入れ、そこから出ていく、要するに売上となるまでの期間のことです。正確には棚卸回転期間ともいわれますが、この記事ではよりわかりやすく、一般的に使われている在庫回転期間の名称で使用しています。また、英語では「nventory turnover period」と表現します。在庫回転期間から客観的に判明するのは、倉庫に商品を仕入れてから在庫になっている期間が短いほど売れているという点です。当たり前かもしれませんが、仕入れ→出荷までのスパンが短い商品ほど売れていて、売上が高くなるということになります。
商品を仕入れてから長いこと経つのに、商品が一向に売れる様子がないときなどは、在庫になっている期間が長い、つまり在庫回転期間が長いということです。このような状態の在庫は、余剰在庫や滞留在庫と呼ばれ、経営上のリスクとなり得ることがあります。いかに余剰在庫を作らないようにするのかといった点も、在庫回転期間では重要となってきます。こうした在庫回転期間を計算することによって、その倉庫で売れている商品と、売れていない商品をデータで分別できるようになる、これが在庫回転期間の基本的なしくみです。
在庫回転率とは？
在庫回転期間に対して、在庫回転率とはその在庫が一定の期間中に、どれだけの数出荷できたのかを表す指数になっています。在庫回転率は、商品回転率や棚卸資産回転率と表現される場合もあります。在庫回転率から判明するのは、その率が低ければ低いほど、在庫が売上になるまで時間がかかるということと、その率が高ければ高いほど、在庫の入れ替わり回数が多くなっていて、その分売上に変わっているという点です。したがって、在庫回転率は、高ければ高いほど売上が上がるので良いとされています。しかしながら、その数値が高すぎた場合などでは、商品を欠品してしまう可能性があり、その際には機会損失や信用低下のリスクも発生します。
在庫回転率は在庫回転期間よりも、そのデータをチェックする期間が短くなる傾向にあります。長くても一ヶ月や一週間に1回、可能であれば毎日チェックすることが重要です。なぜならば、そうすることで、売上の変動をより細かくチェックできるようになり、時間や日数単位での変動、つまりこの日は暑かったからこういった商品が売れた、特定の行事がおこなわれる期間に入ったのでこの商品が売れたという分析もしやすくなります。それらの変動に臨機応変に対応して、仕入れを変えることが売上アップにもつながります。
「在庫回転期間」と「在庫回転率」の計算方法を知ろう！
ここまではそれぞれの詳しい定義と理論を解説してきましたが、この項では、在庫回転期間と在庫回転率の計算方法について解説していきます。正しい計算式をとらなければ、とれるデータも間違ったモノになってしまいます。倉庫管理を徹底する上でも、正しい計算式を使用することが肝要なこととなってきます。
在庫回転期間の計算方法
在庫回転期間に関しては、その期間を棚卸資産÷売上原価で計算することが可能です。売上原価ではなく、売上高で計算する場合もありますが、売上原価のほうがより正確なデータが算出できます。この場合の棚卸資産とは、すでに在庫となっている商品のことで、売上原価とは出荷、販売した商品の原価のことを意味しています。つまり、在庫を売れた商品の原価で割ることで、どれだけのスパンで売れているのか判明するということです。この在庫回転期間を、月単位である在庫回転月数のデータで求めたい場合は、売上原価を12で割り、日数単位である在庫回転日数で求めたい場合には、365で割ります。どちらのデータを使うかは、職種やその立場によって異なってきますが、税理士などの実務家と呼ばれる人たちは、在庫回転月数を使う場合が多いとされています。ちなみに、正確度といった面では、在庫回転月数よりも在庫回転日数のほうがより優れています。
在庫回転率の計算方法
在庫回転率では、在庫回転期間とは逆に売上原価を棚卸資産で割ることによって、その数値を求めることが可能です。この場合、年間の在庫回転率を必要とする際には、売上原価を年間の売上原価に変更し、月間の在庫回転率を必要とする場合では、月間の売上原価に変更します。そうすることによって、それぞれのデータが算出できます。棚卸資産とはすなわち在庫のことですが、在庫回転率における棚卸資産の数値も在庫と同様です。1年間に12個の同じ商品が売れたとしても、その商品が1つ売れたごとに新しく仕入れていた場合では、年間の棚卸資産は1となります。売れたすべての数ではなく、その期間ごとの在庫の平均値なので、計算する際には注意が必要です。
「在庫回転期間」と「在庫回転率」を知るメリット
"在庫回転期間、在庫回転率をデータとして計算することによって、経営や実務に良い影響を与えることができます。なぜならば、データにすることで在庫について客観的な数値で経営陣と現場が共有できるためです。在庫回転期間を計算することで、抱えている在庫がどれくらいの日数分のモノであるかが判明しますが、これによって、余剰在庫を抱えていないか、仕入れは適正であるかをチェックできます。また、在庫をすべて消費できるまでの期間のため、どれだけの期間で売上に反映できるのかといったことも計算可能です。商品の売れ筋を把握する際にも、例えば商品の在庫回転期間が1ヶ月で、別の商品が2ヶ月であった場合、最初の商品のほうが2倍売れているというようにデータを使用できます。
在庫回転率の計算では、年間や月数でどれだけの在庫が入れ替わったかが判明します。在庫がはければはけるほどに、商品が売れていることになり、逆に在庫回転率が低ければ低いほどに売れていないことになります。なので、経営上における現金の流れであるキャッシュフローを良化するのにとても大切な指標です。在庫回転率の場合は、商品が倉庫に滞留している期間を計算できるため、そこから逆算することで、在庫の適正化、または商品を受注してから生産することも可能です。こうすることによって、在庫管理の効率性が大きく上昇し、ここからさらにデータチェックをすることで、より細かい売れている商品と売れていない商品の選別ができるようになり、仕入れや商品陳列、宣伝にも利用できやすくなります。"
在庫管理をしっかり行おう！
在庫回転期間は短いほうがよい、在庫回転率は高い方がいい、これが基本的な傾向です。もちろん、職種や経営スタイルによっては、この傾向とは違うという場合もあります。どちらにしても、経営や倉庫管理をおこなう上では、徹底した在庫管理が求められます。そして、そのようなときには、在庫回転期間と在庫回転率を細かく確認することがおすすめです。
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October 01, 2020 at 01:11PM
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