福島県南相馬市原町区信田沢の栃窪層(ジュラ紀後期、約1億6000万年前)で見つかり、ベネチテス類の新属・新種として論文発表された植物化石「キムリエラ・デンシフォリア」の特別公開が8日、南相馬市原町区の南相馬市博物館で始まった。期間は6月12日まで。
8日、発見者の相馬中村層群研究会の八巻安夫会長(63)、荒好副会長(68)、平宗雄さん(65)と論文執筆者のミュージアムパーク茨城県自然博物館の教育課主査で地学担当の滝本秀夫博士(61)=古植物学=らが記者発表に臨み、発見の意義や経緯を説明した。
滝本博士によると、化石は葉や雌花が茎につき、植物の全体が分かる世界的にも珍しい状態で発見された。この植物は中生代の終わりに絶滅したベネチテス類という裸子植物の仲間。恐竜の主食になっていたとされ、世界各地で葉や花単体の化石が発掘されている状況から、中生代に最も繁栄した植物群の一つと考えられるという。
滝本博士は「1億6000万年前の世界を再現する発表ができた。発見は一部研究者の喜びだけでなく、子どもが読む本や映画の世界にまでつながる。南相馬が化石の宝庫として世界に有名になる一役を担える発見だ」と振り返る。
発掘されたのは2010(平成22)年3月。2009年から常磐自動車道の工事に伴って調査を続け、数千個発掘した化石のうち42個が論文に使われている。研究会の3人は「新属として発表されるとは驚いた。調査・研究していただき大変ありがたい」と感謝を述べた。論文は4月1日に発行された日本古生物学会の英文誌に掲載された。
特別公開のみの観覧は無料。6点の化石が解説つきで展示されている。
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