在庫「とちおとめ」でソースほどよい酸味ケーキや菓子に合う - 東京新聞

新商品「とちおとめいちごソース」をＰＲする月星食品の長沼幹雄社長＝足利市で

　栃木、群馬両県にまたがる両毛地区を中心に「月星ソース」の愛称で親しまれている調味料を生産する月星食品（足利市錦町）が、新商品「とちおとめ　いちごソース」を開発した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、在庫として大量に残った冷凍イチゴを再利用した。「新型コロナに負けず新たな飛躍を」を合言葉に社員一丸、逆風に立ち向かっている。（梅村武史）

　いちごソースは、１００％とちおとめ使用。ぶどう酒やレモン果汁を加え、高い糖度とほどよい酸味が絶品。ケーキや菓子、ヨーグルトに良く合う。

　同社は主な取引先の飲食店がダメージを受けたため、四月の売り上げが約四割減った。特に加工業者向けの冷凍イチゴは約二トンも残り、二百万円相当の損失が見込まれた。

　長沼幹雄社長（４７）は「在庫を抱え、頭を悩ませていたところ、いちごソースにしては、と社員から提案があった」と、商品化を決断した。不足する資金は、インターネットで支援を求める購入型クラウドファンディングで全国から募っている。支援金額以上の商品を返礼品にするという。

　同社は創業百二十五年の老舗。一八九五（明治二十八）年、ソースが日本に入ってきたことを知った初代が東京に出向いて作り方を学び、足利に帰って生産し、リヤカーで売り歩いたという。同社は現在、液体調味料全般を扱い、社員は二十四人。現社長は五代目。

　長沼社長は「地域に愛される味を絶やすわけにはいかないので、今が踏ん張りどころ」と話している。

　いちごソースは同社に隣接する直売所やインターネット通販でも購入可能。一本四百五十円（百八十グラム、税込み）。