毎回の応募が定員を超す人気の寄宿舎が消えるのか――。県教育委員会は、知的障害のある子が学ぶ那須特別支援学校(那須塩原市)と栃木特別支援学校(栃木市)の寄宿舎を来年3月末で廃止する方針を決めた。しかし、那須では今年2月に約7千人の署名と共に撤回を求める要望書が出て、県教委が3月から説明会を開いている。保護者らは存続を求め、新たな署名活動に踏み切った。
存続求め署名活動も
県教委によると、県内には現在、知的障害児の特別支援学校が10校(1校は分校)ある。寄宿舎併設は1974年設置の栃木と78年設置の那須の2校。当時はそれぞれ県南、県北の唯一の特別支援学校だった。遠方から通う子のため寄宿舎が設けられたという。
寄宿舎の閉舎を、県教委は昨年7月に両校の寄宿舎生の保護者に、10月にはPTA役員に口頭で説明。全児童・生徒の保護者は11月に文書で通知した。
この文書によると、閉舎の理由は、寄宿舎の老朽化が著しいことや遠距離で通学困難な子が減ったこと。遠距離の子については、スクールバスの運行ルートを見直すなどして通学手段を確保すると説明した。
ただ、那須では寄宿舎の存続を求める声が上がった。保護者らが今年2月、約7千人分の署名と共に要望書を県に出し、存続や保護者への丁寧な説明、誠意ある話し合いを求めた。県教委は3月29日と今月20日、保護者向け説明会を開いたが、保護者らによると2回とも資料は配られず、録音も禁じられた。20日は資料を再三要求したが、その場では配られなかった。
同校は小学部から高等部まであり、今年度の児童・生徒は296人、うち寄宿舎生は定員いっぱいの26人。近年は、寄宿舎生の多くが異年齢の集団で自立の力を伸ばす「教育入舎」で、遠距離を理由にした子は1~2割。今年度も23人が教育入舎だ。学校によると、寄宿舎には毎年、定員超の応募があるという。
同校の寄宿舎は平屋建て。老朽化で大規模改修が必要になり、県教委特別支援教育室が約7年前から検討を始め、解体を決めた。
「残す理由 説明困難」
那須で20日にあった保護者向けの説明会で、県教委は、寄宿舎を廃止する理由について、「なぜ那須だけ残すのか説明が困難と判断した」と説明した。定員が少ない▽寄宿舎のない学校が多い▽他校と同水準で通学可能と判明した――なども理由に挙げた。廃舎に反対する保護者らには「思いは同じ。平行線のまま申し訳なく思う」と述べた。
参加した保護者らは約60人で、利用経験のある保護者から反論が相次いだ。高等部3年の男子生徒の母親は「子どもたちに与えられた貴重な権利としてぜひ残して」、父親も「白紙撤回して最初から考えよう。部活のような機会もないから寄宿舎ですごく成長する。不公平なら他の8校にも造ってあげて」。高等部2年の男子生徒の母親が「寄宿舎に代わる施設を探しても満床でした」と迫ると、県教委は「代わるものがないのはその通り。最大限良い方向にしたい」と応えた。
一方、卒業生の母親も「自立のための道をなぜ閉ざすのか」と意見を述べ、地域住民も「障害者福祉の後退だ」「福祉に優しくない栃木県をアピールすることになる」と声を上げた。
同日、保護者らは存続を求める署名活動を改めて始めた。「那須特別支援学校は子どもたちの成長を丁寧に支援する貴重な教育の場です。その教育をともに育んできた寄宿舎は特別支援教育の宝です」と訴えている。(小野智美)
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