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人間の心の奥底を描こうと 鴨居玲特別展 - 産経ニュース

鴨居玲の代表作「私の話を聞いてくれ」=山形県鶴岡市の鶴岡アートフォーラム(柏崎幸三撮影)

人物を数多く描いた洋画家、鴨居玲(1928~85)の作品を集めた特別展覧会「鴨居玲―私の話を聞いてくれ」が、山形県鶴岡市の鶴岡アートフォーラムで開かれている。笠間日動美術館(茨城県笠間市)の所蔵作品から、初公開の86点を含む117点が展示され、鴨居が「自画像の画家」といわれる理由が見えてくる。29日まで。

鴨居は昭和3年、石川県金沢市生まれ。金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大学)に進み、在学中の23年に石川県現代美術館展で県知事賞を受賞した。同年、二紀展に初入選し、以後二紀展で活躍するようになった。

30代で欧州や南米を放浪し、背景を廃し、人物に特化した絵を描くようになった。帰国後、「静止した刻」(昭和43年作)で第12回安井賞を受賞。この作品以降、鴨居は人間の営みの中で息をのむような一瞬を切り取った心の動揺を表現していくようになった。

鴨居の描く人物には目がはっきりと描かれていない。鶴岡アートフォーラムの平井鉄寛館長は「感情の表出ではなく、人間の内面に沈殿する感情を探って描き出そうとする鴨居の制作態度なんです」と解説してくれた。

鴨居は、老人や傷病兵など描く対象にふんしては、自分を鏡に映して描く手法を取った。「描く対象の心の奥に入り込んでは想像して描いていった。鴨居が描く人物はすべて自己投影であることから『自画像の画家』と評される」と平井館長。

人間の内面を探ることこそが鴨居の作風だ。展示中の「私の話を聞いてくれ」(48年作)は、自己と対峙(たいじ)した鴨居自身の心象を重く沈んだトーンで描き、老人の姿を借りた鴨居の孤独が、痛々しいほど表現されている。

平井館長は「人物がはっきりと見えないことで、見る人は不安になる。人間の心の奥底にある見えない感情を、鴨居は探りながら描き見る人にそれを感じさせる」と話している。

28日は午前9時から午後6時半まで。最終日の29日は午前9時から午後5時半まで。料金は一般500円など。問い合わせは同フォーラム(0235・29・0260)。

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