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異例の「地下足袋サンダル」ヒットのワケ 旅先の「特別ニーズ」に商機 - 日経クロストレンド

創業103年となる老舗地下足袋メーカーの丸五(岡山県倉敷市)が2022年4月末、倉敷美観地区に直営店をオープンした。初めて手掛けた女性用サンダルは、発売初日から飛ぶように売れ、ひと月待たずに完売の勢いだという。地下足袋メーカーが作るシューズの強みとは。執行役員ウェルネス推進事業部長、波止英氏に話を聞いた。

岡山県倉敷市の美観地区で4月末にオープンした丸五の直営店

岡山県倉敷市の美観地区で4月末にオープンした丸五の直営店

 「正直ビックリしています。飛ぶように売れているので。試し履きして、『気持ちいい』と即購入される。皆さん履き替えてお店を出て行かれます」。興奮気味に語るのは、創業100年超の地下足袋メーカー、丸五の波止英氏だ。丸五は2022年4月末に岡山県倉敷市の美観地区に直営店をオープンした。全国から訪れた観光客が丸五のサンダルに驚嘆するという。

直営店「MARUGO KURASHIKI」の店内

直営店「MARUGO KURASHIKI」の店内

 丸五は1919年以来、100年以上にわたり、農業・建築・林業用など作業用や祭り用の地下足袋を手掛けてきた。創業者が、人力車のタイヤを足袋に貼り付けて地下足袋を考案したのが始まりだ。

 危険な建設現場では、地下足袋が命を預ける履物になる。強度はもちろんのこと、動きやすさや履き心地にうるさい職人たちが1世紀もの間、丸五の地下足袋を頼りにしてきた。職人たちのニーズに応えてきた技術力が丸五の強みだ。

 だが近年、作業用の地下足袋の需要が減り続けていた。現場環境が良くなり、足場も作業用の靴も進化している。地下足袋を履く職人の数が減っていた。祭り用の地下足袋は、半数以上のシェアを維持している一方で、作業用の地下足袋は先細りを実感していた。

 地下足袋の良さを、現代のライフスタイルに落とし込んで提供したい。日本の文化を長く伝えていきたい。だが、作業用の地下足袋と一般向けの靴とでは商流が全く違う。そこで、「社内で初めて開発、製造、営業が一体となったウェルネス推進部を立ち上げ、一気通貫でニーズに合致した商品作りの挑戦を始めた」(波止氏)。

 実は、丸五では14年から足先が2つに割れた足袋型コンフォートシューズ「tabiRela(たびりら)」を発売している。つま先部分に圧倒的な解放感があり、外反母趾(ぼし)などで足に悩みを抱える40代以降の女性に口コミで広がった。19年には東京・京橋の営業所の下に初のアンテナショップを開設。当時からInstagramで全身コーディネートを紹介するなどSNSでの発信を始めたところ、新型コロナウイルス禍前はインバウンド需要をはじめ、全国から購入に訪れる人が増えた。ところが、コロナ禍もあり頭打ち感が強まっていた。依然として社内では作業用・祭り用地下足袋が主軸。新しいシューズのアイデアも実現への道のりが遠い。

tabiRela(8800円から、税込み)は、裸足のように足の指で地面をつかむ感覚で歩くことができる

たびりらは8800円~(税込み)。はだしのように足の指で地面をつかむ感覚で歩くことができる

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