やらなくてはならないのに、やる気が起こらないタスクはありませんか? 手をつければものの5分で終わるものでも、面倒だなあと思うことは先延ばしにしがちです。
例えば、「なぜか洗濯物がいつもソファを占領している」とか「ダイニングテーブルの端に謎の郵便物の山ができている」などです。
中には数時間から数日がかりのタスクを先延ばししている人もいます。大掃除、歯医者、衣替え、車や携帯電話の買い替え、転職先探し、お金の計画などなど……。
こうした場合に、やる気を出す方法はたくさんありますが、今回はある特定の場所に移動することでタスクへのやる気を起こす方法、通称「場所スイッチ」をご紹介します。
脳に教え込んで「スイッチ」をつくる
初めに申し上げますが、「場所スイッチ」は最初から有効なわけではありません。
脳に「この場所ではやる気がわいて集中できるんだ」ということを教え込みながらスイッチを作っていく必要があります。
こう書くとがっかりされる人もいるかもしれません。
しかし、わたしたちが、「あれ、空港に来ると、無性にビールが飲みたくなるな」とか、「テーマパークでは、驚くほどお金を使っちゃうなあ」とか、日頃経験している場所と心理状態の結びつきも、生まれつき持っていたわけではありません。
空港という場所と、これから出張だぞ、非日常が始まるぞ、自由だぞという気持ちが繰り返しペアになったことで、空港が開放感の場所スイッチになったのです。
つまり、場所スイッチは後天的で、何回か繰り返しているうちに身についたもの(学習したもの)なのです。
ということは、これからご紹介する場所スイッチも、最初こそ「学習」が必要ですが、一度身についてしまえば、「この場所に来れば、やりたくないタスクでもなんとかなる」と自信持って活用できる方法になり得るのです。
さて、「場所スイッチ」の作り方の手順をご説明しましょう。
【場所スイッチの作り方】
手順1:「非日常」の場所を決める
手順2:やる気の起こらないタスクを持ち出せる状態にする
手順3:所要時間を見積もる
手順4:持ち込んでスタートするが、万が一やる気の起こらない時には即帰宅する
ひとつずつ解説します。
手順1:「非日常」の場所を決める
まずは、どの場所でもけっこうなので、「非日常」の場所を選びます。
できれば自宅やいつもの職場のデスクなど、これまでも長い時間そこにいた場所は避けるようにします。近くのカフェ、図書館、公園、どこでもけっこうです。
ご自宅にどんなに立派な書斎をお持ちの方でも、そこではなくて、いつもと違う場所を選びましょう。「あら、あのカフェおしゃれだなあ」と特別な思いを持てる場所がいいでしょう。
手順2:やる気の起こらないタスクを持ち出せる状態にする
さて、この手順2が最も難しいかもしれません。書類書きのようなタスクなら、書類とペンや資料など必要なものを不足なくバッグに入れればOKです。
しかし、「衣替え」とか「部屋の掃除」となると、カフェには持っていけませんね。
そこで発想を切り替えます。こうした作業の一番おっくうなプロセスは、実は「とりかかり」の初めの部分なのです。
その「とりかかり」の部分を、拡大してみてみると、「どのように衣替えをしたらうまくいくだろうか?」「どんな計画で掃除を進めたらやる気を出せるだろうか?」という作戦タイムがあるかもしれません。
(え?計画や作戦なんてないまま衣替えも掃除もしているよという方はこれを機に立ててみましょう!)
この作戦タイムをカフェで行うのです。
「そんな暇があったら、さっさと衣替えした方が早いよ!」と思われた方は、ぜひすぐに衣替えをしてください。場所スイッチを使わずにやる気を出せたのですから、このタイミングを逃してはなりません。
しかし、実際、これまで先延ばしにしてきたタスクにやる気を出すのは容易ではありません。その場合、「作戦タイム」をカフェでじっくり考えて、「助走つけるかー」と最初の一歩を踏み出してみてください。
作戦タイムのために持ち運ぶべきグッズは、ノート、スケジュール帳、ペン、場合によっては動画の見られるスマホかパソコン、イヤホンなどです。
衣替えの作戦タイムなら、
□近所のクリーニング屋のセールのリサーチ
□服の断捨離について解説した動画を見る
なんていかがでしょうか?
手順3:所要時間を見積もる
カフェに持ち込むタスクと必要なアイテムが決まったら、それぞれの所要時間の見積もりをします。これが長すぎてはいけません。お店に長時間滞在しすぎてはいけないというマナーの点もありますが、集中力がもたないという点もおおいにあります。最初のうちには長くても合計2時間以内にしておきましょう。(以下の例は、盛り込みすぎていますね)
□近所のクリーニング屋のセールのリサーチ(30分)
□服の断捨離について解説した動画を見る(60分)
□断捨離計画を立てる(60分)
手順4:持ち込んでスタートするが、万が一やる気の起こらない時には即帰宅する
さて、いよいよカフェに入ります。
やることも決まっているし、必要なものも全て持ち込みました。
いつもと違う場所で、お気に入りのコーヒーの香りに包まれて、心地のよい音楽、適度に人の気配もあって眠りこける心配もなさそうです。
集中できるかもしれません。
しかし、しょせん、最初のうちには場所スイッチが脳にできていませんから、集中も途切れやすいかもしれません。ついついスマホを触ったり、カフェの外にでかけたくなったり、ただただネットサーフィンしたくなるかもしれません。
こうしたときには、どんなにコーヒーが残っていようと、その店からすぐに立ち去ります。「この場所」と「集中以外のあそび」はペアにしてはいけないのです。脳に間違った学習をさせないためです。
「あー、せっかくカフェにきたのになあ」
と思うかもしれませんが、とにかくだらだらと聖域に居続けないことがポイントです。例外を作らないようにします。そしてまた別の日にトライします。
繰り返すうちに、脳が覚えていきます。「ああ、ここにきたらやる気がわいて集中できるなあ」と。
保険として、いくつかカフェの候補をもっておくとよいでしょう。「今日は家の近くのあのカフェかな。いや、もう少し街中のあっちにしよう」と気分で選べるだけでも飽きが生じません。
いかがでしたか? 私はすべてのコラムと著書はカフェで執筆していますが、年に1、2回場所スイッチが効かないことがあります。その時は潔く執筆をやめて、心の声を聞きます。
たいていおなかが減っていてファミレスに行きます。最近のファミレスはwifiもあるし、フリードリンクもおいしいので、これもまたいい執筆場所です。
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