マツダは、「CX-5」「CX-30」「MAZDA3」3車種に特別仕様車「Retro Sports Edition」を設定し、2023年10月中旬〜下旬に発売すると発表した。今回、その特別仕様車の詳細とともに、「CX-5」へ施された一部改良の内容について解説したい。
レトロモダンな世界観にスポーティーさを融合した特別仕様車「Retro Sports Edition」。車種は、左から「CX-5」「MAZDA3」「CX-30」で、画像のボディ色はイメージカラーの「ジルコンサンドメタリック」
ベースは好評な「Black Tone Edition」
「Retro Sports Edition」は、2020年に発売された特別仕様車「Black Tone Edition」が非常に好評だったことから、それをベースにレトロとモダンを融合させ、新たな世界観を持たせたスポーティーな仕様だ。
「Retro Sports Edition」のベースとなっている特別仕様車「Black Tone Edition」。画像は、今回の商品改良が施された「CX-5」

マツダ
4.55
(レビュー784人・クチコミ63753件)
新車価格:276〜417万円 (中古車:34〜425万円)
ターゲットユーザーは、「商品の背景にあるストーリーに思いを馳せ、その深みを楽しむお客様になります」と説明するのは、マツダ 国内営業本部 国内商品マーケティング部の下村周平さん。
具体的には、「現在、コロナ禍を経て、お客様の購買に対する考え方や世の中の潮流が変わってきています。デザインにはしっかりとこだわり、モノ選びはじっくりと検討して、長く使い続けたい。そのような考えのお客様をイメージしています」。
「CX-5」を例にポジショニングを説明すると、現在「Black Tone Edition」(379万円)と「Sports Appearance」(413.2万円)というスポーツ志向のグレードがあるが、その中間に「Retro Sports Edition」(397.6万円)が新たに追加されることになる。
イメージ色は「ジルコンサンドメタリック」
「Retro Sports Edition」の具体的な商品特徴について、マツダ デザイン本部 チーフデザイナーの松田陽一さんによると「ここ数年、世代を越えて“レトロとモダンの融合”といった感覚が支持されています。若者には新鮮で、年を重ねた年代の方にはなじみが深い。このような、世代を越えたトレンドを『Black Tone Edition』で評価されたスポーティーさと融合させました」。
「Retro Sports Edition」を企画するにあたっては、ヒントとなるボディカラーの存在があった。それは、「2022年に『ロードスター』へ導入したボディカラー、『ジルコンサンドメタリック』です。『ジルコンサンド』とは、鋳造の砂型に使う砂をモチーフにしたアースカラーのことです」。
左の「ロードスター」が、2022年に導入された「ジルコンサンドメタリック」のボディカラーが採用された新モデル
「ジルコンサンドメタリック」は、「ロードスター」の前に「CX-5」にも使われていた色だ。松田さんは、「『CX-5』のときは、アースカラーとSUVのコンビネーションによって、アウトドアのイメージが強く出ていました」と話す。そして「ロードスター」との組み合わせでは、「レトロ感ある、カフェレーサーのようなテイストが感じられたのです」と述べ、そこから今回のレトロとモダンの融合という発想が生まれたようだ。
また、「ジルコンサンドメタリック」については「ベージュ系ですが、シャドウとハイライトにメリハリのある、マツダらしい硬質な立体感を感じさせるカラーです。シャープさを感じさせつつ、レトロ感も覚えるような色味です」と説明。これをキーカラーとしながら、「パーツを黒で締めることで、車両全体のコーディネートを作り上げています」と述べる。
また、「Retro Sports Edition」のインテリアは、「レトロ感を感じさせるブラウン系のうち、タンよりわずかに鮮やかなテラコッタを採用しました。素材は、トレンドと気兼ねなく使えることを意識して合成皮革を採用。そして、テラコッタにスポーティーな内装の王道と言えるブラックスエードをコンビネーションさせました。今回、スエード素材には「CX-60」と同じレガーヌが用いられています」。「Retro Sports Edition」は、「Black Tone Edition」よりも、さらなる上質さを狙って開発されたようだ。
レトロスポーツSUVを狙った「CX-5」
ここからは、「Retro Sports Edition」が設定されている3車種の詳細について、それぞれ解説したい。まず、「CX-5」は「スポーティーなキャラクター性を生かした、レトロスポーツSUVという狙いで全体をコーディネートしています」と松田さん。
「CX-5 Retro Sports Edition」の外観には、上級グレードの「Sports Appearance」相当のブラックパーツが採用されており、アルミホイールやグリルは「Black Tone Edition」と同じにすることで、スポーティーなディテールが表現されている
「CX-5 Retro Sports Edition」のインテリアは、テラコッタとブラックスエードのシートを基調として、トリム空間をすべた黒でまとめたスポーティーなものとなっており、テラコッタ色のステッチが差し色として入れられている
シートデザインは「いわゆるトラディショナルな雰囲気を持った形状ですので、カラーコーディネートによるレトロスポーツ感が際立っています」と、松田さんはシートの形状をうまく生かしたカラーリングであることを強調する
その仕立ては、「シート中央のブラックスエード部分をパーフォレーション(穴加工)したスエードにしました。パーフォレーション加工は、昔から使われる王道のスポーティー表現ですので」と話す。さらに、シートボルスター部に黒のパイピングのアクセントを採用している点も、レトロ感の表現のひとつであるという。

マツダ
4.55
(レビュー784人・クチコミ63753件)
新車価格:276〜417万円 (中古車:34〜425万円)
ちょい悪感を高めた「CX-30」
「スタイリッシュなコンパクトクロスオーバーに、ちょい悪感を高めたレトロスポーツというキャラクターが、『CX-30』の新たな選択肢としてお選びいただけるのではないかと思っています」と松田さん。
「CX-30 Retro Sports Edition」のエクステリアは、全体的に「Black Tone Edition」の黒パーツで締めながら、「CX-5」よりもさらに一歩踏み込んで、グリルシグネチャーなどにも黒メッキが採用されている
シートの仕立ては、テラコッタとブラックスエードのセンター部分の合わせをストレートラインにして、「クリアでスポーティーな印象を、この部分で作り上げています」と話す。また、シート中央には、「CX-60」にも採用されているコードバン調のアクセントを配し、シートセンターを強調するデザインが採用されている。
「CX-30 Retro Sports Edition」のインテリアは、トリム空間を黒でまとめたスポーティーなもので、その中にテラコッタ色のステッチが差し色として入れられている。また、インパネのミドルパッドもブラックスエードとされ、インナーハンドルをはじめとした金属調のアクセント部分はガンメタル色が採用されている

マツダ
4.33
(レビュー184人・クチコミ8510件)
新車価格:239〜391万円 (中古車:165〜369万円)
スポーティーさがもっとも体現されている「MAZDA3」
「MAZDA3」の「Retro Sports Edition」は、ファストバックとセダンの両方に設定されている。松田さん曰く、「非常に挑戦しがいのあるクルマでした」とのこと。その理由として、「ジルコンサンドを用いたSUVは想像できますが、ファストバックやセダンは想像しにくかったので、勇気がいりました」と話す。
しかし、「レトロスポーツエディションのラインアップの中で、最もスポーティーさを体現したモデルとして、レトロスポーツという狙いを端的に感じてもらえるモデルに仕上がりました」と述べ、その挑戦が成功したことを話してくれた。
「MAZDA3 Retro Sports Edition」ファストバックのエクステリア。ほかの2車種と同様に、ブラックパーツによってジルコンサンドカラーの印象がさらにスポーティーなものとなっている
インテリアは、ベースモデルが黒い天井材を採用していることでスポーティーな空間を演出していることから、「この空間の中では、テラコッタの存在が際立ちます」と松田さん。ディテールの仕上げに関しては、「CX-30」と同様だ。
「MAZDA3 Retro Sports Edition」ファストバックのインテリア。画像は海外モデルのため左ハンドル仕様

マツダ
4.23
(レビュー212人・クチコミ7856件)
新車価格:228〜386万円 (中古車:118〜379万円)

マツダ
4.37
(レビュー53人・クチコミ835件)
新車価格:259〜310万円 (中古車:112〜329万円)
わかりやすくなったグレード体系
続いては、今回の特別仕様車と一緒に発表された、「CX-5」一部改良の詳細について解説したい。
スポーティーな3モデルが揃えられた「CX-5」。画像は、左から「Black Tone Edition」「Sports Appearance」「Retro Sports Edition」
まず、今回一部改良を実施した背景について下村さんは、「SUV市場における価格帯別の販売台数を見ると、特に拡大しているのは200〜450万円台」と分析し、その主戦場に「CX-5」が見事に当てはまっているという。また、同車はある程度のシェアを獲得しており、かつ販売台数も堅調に推移していることから、マツダのSUVラインアップの中で、とても重要な車種として位置づけられているとのこと。
下村さんは、グレードについて「特に、『Black Tone Edition』と『Sports Appearance』、2つのスポーティーグレードが好調で、『CX-5』の50%を占めています」と述べる。それと共に、「他社からの流入にも貢献しています」と、シェアを伸ばすラインアップとして、スポーティーグレードが重要なカギとなることを示唆した。
それらを踏まえ、今回の商品改良の狙いは「既存グレードのキャラクターを鮮明化することで、多様なお客様のライフスタイルやニーズに、より幅広く対応すること」とし、グレード体系の見直しと「Retro Sports Edition」の追加、そして既存グレードの進化と価値を鮮明化させるため、内外装デザインの変更や標準装備の拡充などが図られた。
グレード体系の見直しについて、プレミアム志向の「L Package」と「Exclusive Mode」のポジショニングが近かったり、「Proactive」「Smart Edition」「Field Journey」などがイメージとして重なったりしてしまうところがあった。そのため、今回の商品改良では「Smart Edition」と最上級のプレミアム志向の「Exclusive Mode」をシンプルにひとつのくくりとし、そこを軸にレジャー志向の「Field Journey」やスポーツ志向の3グレードを展開することで、それぞれのポジショニングがわかりやすく展開されている。
左が旧グレードで、右が新グレードの体系図。新グレードでは、プレミアム、レジャー、スポーツ、エントリーグレードが、それぞれわかりやすく整理されている
「CX-8」と同じグリルデザインを採用
今回の「CX-5」一部改良においては、内外装デザインの変更も行われた。ひとつは「Exclusive Mode」と「Sports Appearance」におけるグリルの変更だ。
画像は「Sports Appearance」一部改良モデルのフロントグリル。「CX-8」と同様のデザインのグリルへと変更されている
これまでは、グリルに差し色を入れることによって差別化が図られていたが、今回はグリルが「CX-8」の縦格子のものへと変更されている。その理由について、松田さんは「『Sports Appearance』から上位のグレードは、ラグジュアリーな『CX-8』の仲間という考え方です。ですが、『Retro Sports Edition』が新たに加わり、全体的に充実しましたので、『Sports Appearance』のポジショニングを上へと引き上げました。そして、それを明確にするために、グリル形状の異なる上級の『CX-8』と同じ縦格子のグリルにすることで、ラグジュアリーな展開とすることを狙っています」と説明する。また、「Exclusive Mode」は車体下のアンダーガードも塗装仕様へと変更されている。
「Field Journey」の緑の差し色は廃止に
ちなみに、「Field Journey」の特徴だった緑の差し色は、今回廃止されている。松田さんによると、「とても評判がよかったのですが、実際のお客様からは、格好いいのだけれど差し色の緑があることで購入にいたらないケースも多くあったのです」と、市場からの声があったことを明かす。
上が改良後で、下が改良前の「CX-5 Field Journey」のインテリア。改良後のモデルには、緑の差し色がない
「Field Journey」の購入層で、「意外と多かったのが、初代『CX-5』のお客様がこれぐらいの装備と価格のグレードで、オフロード性能が充実したクルマがほしい方と、アウトドア志向の方、それもおしゃれなものではなくて本気のアウトドアギアを欲するような方が多いのです。しかし、そういった方のショッピングリストに『Field Journey』が載っても、少しおしゃれに感じられてしまって、より実質的なクルマが欲しいという声が、日本だけでなくヨーロッパからも上がってきていたのです」。
そのため、緑の差し色をなくしてより実質面での装備、たとえばパーフォレーション加工を施したレガーヌをシート座面に採用するなどによって、黒で汚れが気にならず、拭き取りもさっとできることなどを重視して、改めてコーディネートされたとのことだった。
マツダのグレード体系は、特別仕様車が多く存在することから、意外とわかりにくいことがある。そういった思いは多くのユーザーが抱えていたようで、今回はそのような声を踏まえた改良によってグレードが選びやすくなったと言える。
また、「Retro Sports Edition」の設定はSUVだけでなく、「MAZDA3」にまで及んでいることには驚いた。実車を見ると、ソウルレッドの上品さや上質さとは違ったスポーティーな印象を感じさせてくれ、「MAZDA3」の新たな世界観が感じられる特別仕様車へと仕上げられていると思えた。
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