世界各国の国王や大統領らをもてなす迎賓館赤坂離宮(東京都港区元赤坂)が今月、開館50周年を迎えた。記念事業として、普段は非公開の「西の間」が26日まで公開されているほか、「東の間」「サロン」や所蔵美術品が順次、特別公開される。
「西の間」の扉を開くと、まるで映画のお城のように豪華な空間が広がる。内装には全て英国で調達したというチーク材が使われ、細部まで装飾が施されている。天窓のガラスにも模様が配され、シャンデリアが光を添える。壁面のガラス戸付きの棚には、各都道府県から寄贈された民芸品や工芸品が所狭しと並ぶ。
「西の間」の特別公開は史上初めて。もともと皇太子時代の大正天皇の学習用図書を収蔵する「御書房」として造られた部屋で、民芸品などは賓客に日本文化を伝える目的で所蔵されている。
赤坂離宮の敷地は約12万平方メートル。紀州徳川家の江戸中屋敷のあった場所で、1872年に皇室に献上された。ネオ・バロック様式の建物は皇太子時代の大正天皇の住まう東宮御所として1909年に建てられた。実際に使われたことはなく、一説には、質素倹約を旨とする明治天皇が「ぜいたくだ」と漏らしたことが原因といわれている。
とはいえ、摂政時代の昭和天皇が関東大震災のあった23年から5年間生活されたほか、終戦後には疎開先から戻った皇太子時代の上皇さまが半年間居住されるなど、仮の住居として使われた。戦後は国に移管され、大改修を経て74年4月に迎賓館として開館。2009年、国宝に指定された。
今回の記念事業では、賓客の控室として使われる「サロン」も、5月と、10月中旬~12月中旬に公開となる予定。
5月の公開時にはパリ万博(1900年)で金牌(ぱい)を受賞した金属工芸家・紹美栄祐(じょうみえいすけ)の「宇治嵐山の景」など、迎賓館で使用される花器が展示される予定だ。
9月には、歓迎行事の際に日本側閣僚の控室となる「東の間」が公開される。8世紀に流行したムーリッシュ(イスラム)様式で、当初は喫煙室として造られた。壁にピラミッドやモスク、ヤシの木が描かれていることから「エジプトの間」とも呼ばれている。
このほか、11月中旬~12月中旬には、日仏で活躍した画家・藤田嗣治の油彩画が公開される予定だ。
一般の写真撮影は禁止だが、舞踏室として造られた「羽衣の間」(7月公開予定)と、晩さん会などを行う「花鳥の間」(8月公開予定)は期間限定で撮影できる。公開の予定は外交・接遇の日程によって変わる可能性もあるが、実施できなかった場合も来年3月までに可能な限り行う方針。同館の三上明輝館長は「記念事業を通し、赤坂離宮の外交の意義、文化財の価値への理解を深めてほしい」と話している。
◆来館は
通常の参観(本館・庭園)は、毎週水曜と接遇などによる非公開日を除き、午前10時~午後5時。事前申し込み不要、一般1500円、大学生千円、中高生500円。「西の間」の特別公開は26日まで、通常の参観料で見られる。他の特別公開などの詳細はホームページ参照。問い合わせは電03(3478)1111へ。
文・小沢慧一/写真・木戸佑
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