
今や私たちの生活に欠かせないインターネットですが、関連する犯罪が急増しています。
ネットを使ったサイバー犯罪。それを取り締まる広島県警のスペシャリストを取材しました。
■50代女性
Qネット犯罪を身近に感じる?
「今のところ感じたことはない」
Q見知らぬ人からメールが届いた経験は?
「それはある。”荷物が届きます”とか”あなたの支払いが終わっていません”など」
■20代男性
「メールは来るがスルーです。怪しいと思うので何もしない」
今、企業や金融機関などを装ったメールでクレジットカード番号などを入力させ、預金を盗む犯罪が急増しています。
去年、被害者が不正に送金された総額は全国でおよそ87億円に上り、過去最多となりました。
広島県内の被害額もおととしのの58倍。早急な対策が求められています。
県警は3年前から特別サイバー捜査官を置き、インターネットを悪用した犯罪の中で、特に複雑な事案に当たらせています。
新たに任命された大原巡査部長は合格率わずか5.9%の上級試験に合格しました。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「特別サイバー捜査官として県警を引っ張ていけるよう努力していきたい」
ここは、機密情報を扱うため限られた捜査員しか入ることができません。今回初めて、カメラが入ることが許されました。特別サイバー捜査官は犯罪に使われた携帯電話やパソコンの解析を行い、証拠をつきとめます。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「英数字ばかりなので目は疲れるが、これが解析の基本。ここから読み解いていくのを意識してやっている」
■大原巡査部長
「証拠品を見せてください」
■署員
「こちらのスマートフォンの解析をお願いします」
この日、大原さんは盗撮事件の解析依頼を受けました。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「この事件の盗撮は普通のカメラアプリでの撮影?」
■署員
「無音カメラのアプリです」
大原さんは念入りに当時の状況を確認します。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「事件の証拠は犯人に裁判で刑を償ってもらうためにも重要なので大変だがやりがいを感じて仕事している」
小さな見落としも許されない緊張感。
それを解きほぐすことができるのは仲間と過ごすひと時と大原さんの妻がつくってくれる愛妻弁当です。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 杉山健太郎 警部補
「歴代もったスタッフ(部下)の中で、ぴかいち優秀な人間で、できることなら僕が退職するまでずっと部下でいてほしい」
大原さんは幼いころから警察官を目指してきました。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「大人から子どもまでインターネットで他者と交流出来るようになってきた時代なので(県警の)サイバー犯罪対策課に入りたいなというふうには思っていた」
夢を叶えた大原さん。
今、戦っているのはランサムウェアと呼ばれる企業を狙ったサイバー攻撃です。
ことし2月、広島市に本社をおく「イズミ」がこの攻撃を受け、システム障害が発生。配達サービスなどの一部が使えなくなりました。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「これがランサムウェアに感染した画面です」
ランサムウェア攻撃を受けると、データが暗号化されてしまいます。その復旧を条件に犯人が求めるのが身代金です。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「警察としては絶対に身代金を支払わないようにとお願いしている。
不審な動きをしている箇所をみつけるのが仕事」
国内だけでなく、海外にも及ぶ解析捜査。長いものでは数年かかるといいます。
■広島県警 サイバー犯罪対策課 大原成一巡査部長
「今後、もっと高度な犯罪が増えてくると思うので犯人の一歩上をいく知識を常に身につけていくことができたらと勉強を今後も継続していきたい」
技術が発展し便利になる一方で巧妙化する犯罪。被害を一つでも減らすため、大原さんはきょうもネット空間で目を光らせています。
【2024年4月15日放送】
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