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【関西】特別展「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ-和泉市久保惣記念美術館所蔵品展-」中之島香雪美術館(大阪)で9月8日まで - 読売新聞社

モネ、ルノワール、ピカソ、ゴッホ、ドガ、ロートレック、モディリアーニ、藤田嗣治、シャガール…名前を聞けば、「あの絵の画家だ!」と誰もが知る西洋で活躍した近代画家たち。

名だたる画家たちの作品を所蔵する「和泉市久保惣記念美術館」(大阪府和泉市)の西洋近代美術25点(寄託品も含む)が館外から飛び出し、同館の西洋絵画展示コーナーがほぼ初めて丸ごと「中之島香雪美術館なかのしまこうせつびじゅつかん」(大阪市北区中之島)で開催中の特別展「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ-和泉市久保惣記念美術館所蔵品展-」にやって来ました。

興味深いのは、2館とも東洋古美術がメインの美術館である点。会場の中之島香雪美術館で西洋美術の展示は今回が初の試みです。同館の落合治子主任学芸員は、「(この度の開催で)改めて、東洋、西洋それぞれの美術に垣根はないと感じます」と力を込めます。

時代背景や画家の人生、関係性で味わう展示

フィンセント・ファン・ゴッホ《紡ぎ車を繰る女》1883~84年

展示は4章構成で、フランス革命後の近代絵画の黎明期~第一次世界大戦後頃までを著名な画家の作品を通じて俯瞰する内容。おもしろいのは、作品解説横に各画家たちの人生紹介がなされており、時代背景とともに画家の人生の中でどの時期に描かれた作品なのかじっくり味わえる点です。

久保惣の西洋美術コレクションの特徴として、落合学芸員は、「作家にとって大事な時期に制作された作品が多いです」と説明します。例えば、ポスト印象派の画家で知られるゴッホやゴーギャンの絵画は、初期作品がコレクションされています。タヒチの女性たちを描いたことで有名なゴーギャンは、勤めていた証券会社が破綻したことで、いきなり家族を捨て画家になった人物です。

ポール・ゴーギャン《若い裸婦》1885~86年。作品解説横に画家の人生紹介がある(各画家の肖像は、美術館スタッフが描いたとのこと)

ゴーギャンの《若い裸婦》は、「決意を秘めて画家になったばかりの作品で、まだ彼の個性というよりは、ドガのスタイルを思わせるような正統派な絵です」と落合さん。そのため、ゴーギャンとドガの作品は並んで展示されています。

クロード・モネ《睡蓮》1907年。黄昏前の睡蓮を描いた作品でルノワールの作品と並んで展示されている

また、ミレーに憧れて影響を受けたゴッホの初期作品もミレーの作品と並んでおり、印象派の画家として知られるモネとルノワールも仲が良かったので、作品が並んでいます。展示の並びで関係性がイメージできるのがなんともユニークです。

西洋と東洋の垣根を超えて、ジャポニズムに影響を受けた芸術家たち

エドガー・ドガ《踊り子》1879年頃

同展でもうひとつ注目したい点が、19世紀末にヨーロッパで流行したジャポニズム(日本趣味)の影響を受けた芸術家たちの作品が多いこと。ゴッホやモネは浮世絵を集めていたことで知られており、他にも、ドガ、ロートレック、彫刻家のロダンも影響を受けています。

重要文化財「旧村山家住宅」に建つ茶室「玄庵(げんなん)」を原寸大で再現した館内茶室「中之島玄庵」とロダンの《考える人》のコラボ

注目は、重要文化財「旧村山家住宅」に建つ茶室「玄庵げんなん」を原寸大で再現した館内茶室「中之島玄庵」と久保惣コレクションのロダン《考える人》とのコラボレーション(この作品のみ撮影可)。

オーギュスト・ロダン《考える人》原型1884年

ロダンの《考える人》は、東京・上野の国立西洋美術館にあるものが良く知られており、様々なサイズのバージョンがありますが、久保惣コレクションのものは、小ぶりながら最初期の作品です。ロダンは、浮世絵のみならず仏像も収集し、仏教に関心を示しました。茶室に鎮座する《考える人》を鑑賞すると、確かにジャポニズムを超え、東洋も西洋も美術に垣根はなく、どれも融合しているのだと感じます。

朝日新聞社の創業者で茶人でもある村山龍平。邸宅だった「旧村山家住宅」に茶室「玄庵」がある。文化財や古美術品の海外流失を防ぐため村山が収集した作品を収蔵する香雪美術館(神戸市)と中之島香雪美術館がある

ちなみに、「旧村山家住宅」(兵庫県神戸市)は、朝日新聞社の創業者・村山龍平(1850~1933年)の自邸。同じ神戸の東灘区には、日本の文化財を守ろうと村山龍平が収集した日本と東アジアの古美術品を所蔵する香雪美術館(本館)があります。中之島香雪美術館は、2018年に開館した、この本館に次ぐ2館目の都市型美術館です。

同じ関西の東洋古美術の美術館として、親交が深い和泉市久保惣記念美術館は、泉州(大阪府南部)で100年以上綿業などを営んできた「久保惣」( 久保惣株式会社))が、和泉市へ約 500点の東洋古美術と建物や敷地などを寄贈し開館。国宝2点、重要文化財29点を含む約 12000 点の充実のコレクションを所蔵しています。(ライター・いずみゆか)

雪舟等楊 ≪山水図≫ 室町時代 15世紀 一幅 (6月29日~7月15日) 館内では、香雪美術館の修理を終えた作品が期間限定で展示されている
特別展「珠玉の西洋絵画:モネ・ルノワール・ピカソ-和泉市久保惣記念美術館所蔵品展-」
会場:中之島香雪美術館(大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 4階)
会期:2024年6月29日(土)~9月8日(日)
開場時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝・休日の場合は翌火曜日)
観覧料:一般1500円/高大生900円/小中生500円
【夜間特別開館】
2024年7月25日(木)、8月22日(木) 10:00~19:30(入館は19:00まで)
詳しくは美術館の展覧会ページ

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