感謝祭翌日の金曜日である「ブラックフライデー」に当たる２９日、米国で年末商戦が幕を開ける。消費の起爆剤として期待を寄せる各社が売り出しを本格化させる中、高級品市場で「台風の目」として浮上しているのが、８月に破産申請した高級百貨店、バーニーズ・ニューヨークだ。在庫一掃を目指すバーニーズはブラックフライデーに先駆けて異例ともいえる大幅値引きセールを実施、高額品の値引きを避けたい競合各社にとっての脅威となっている。
高額品９５％が対象
電子商取引（ＥＣ）を調査するアドビ・アナリティクスによると、１１～１２月のホリデーシーズン期間中の米国のオンライン消費額は過去最高となる前年比１４％増の１４３７億ドル（約１５兆７０００億円）に達する見込み。しかし、出足好調なネット販売に対し、実店舗からは客足が遠のいている。
不動産サービス大手、ジョーンズ・ラング・ラサール（ＪＬＬ）が管理する東海岸のモールを調査したところ、全体の６２％余りが客足は前年並み、１３％近くが前年を下回るとした。
こうした中、高級品店はバーニーズの規格外の値引きセールにより、さらなる打撃を被りそうだ。バーニーズの在庫販売を担当するＢ・ライリー・ファイナンシャルによると、バーニーズのクリアランスセールは２７日から始まり、平均で３０～３５％の値引きになるという。以前のセールでの５～１０％よりも大幅な割引となる。
高級百貨店などでは高級感を維持するために通常、大幅な値引きを避ける。こうした全店舗という規模で値引きするのは極めて異例だ。また、高級品店のセールは前シーズンからの売れ残り商品に限定されるが、バーニーズではプラダやボッテガ・ヴェネタなどめったに安くならないブランドを含め、商品の９５％が値引き販売の対象になる。
「全店舗は前例ない」
バーニーズのクリアランスセールについて、調査会社ＮＰＤグループのファッション・バッグ担当アナリスト、ベス・ゴールドスタイン氏は「高級品チェーンが全店舗の商品を一掃するのは前例がない。高級品のこんな割引は見られるものではない」と驚く。バーニーズが大幅な値下げを続ければ、他の高級品店、特にバーニーズの残る５店舗の近隣の小売店への影響は避けられない。
１０月末に米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ（ＡＢＧ）による買収が決定して以来、バーニーズは在庫処分を加速させている。売却先のＡＢＧはバーニーズの屋号などを買い取るとともに、残る店舗をほぼ閉鎖する方針。今後は競合に当たる米高級百貨店サックス・フィフス・アヴェニュー内の店舗内に出店する計画だ。（ブルームバーグ Ｋｉｍ Ｂｈａｓｉｎ、Ｌａｕｒｅｎ Ｃｏｌｅｍａｎ－Ｌｏｃｈｎｅｒ）
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November 29, 2019 at 12:00PM
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米年末商戦に在庫一掃で「台風の目」 破綻バーニーズが3割引き - SankeiBiz
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